米国市場は、9日に発表された「10月生産者物価指数(PPI)」と10日に発表された「10月消費者物価指数(CPI」)が揃って強い伸びを示し、インフレ懸念より下落した。週末には反発して強い値動きを見せたものの週を通して6週間ぶりとなる下落となった。ミシガン大消費者信頼感指数も10年ぶりの低水準となりインフレ懸念が消費者心理の悪化に繋がったとされた。
今週の結果
レバナス基準価格とトータルリターン

一時、基準価格を40,000円の大台を割り込みそうになったが月曜日の発表では41,000円台には戻ると思われる。
42,000円台からの急落であった。
NASDAQ100とその他の指数の値動き
・一週間の値動き

・一か月の値動き

・半年の値動き

今週の下落ではNASDAQ100が他の指数より下げているが、長期スパンでは強さが分かる。
例年、NASDAQ100は年平均16%程の上昇なので去年に引き続きアウトパフォームする可能性が高い。
週足チャート
大きな時間足で「大局」を認識することはとても重要です。

週足RSIはまだ70越えの高値圏です。今後の理想は6月~9月のように70越えをキープし続けること。
楽観論としては、11月~1月くらいはこう推移すると考えている。
MACDはゴールデンクロスしたばかり。デッドグロスしないことを祈るだけです。
日足チャート

RSIは60で反発。再び70越えを目指します。先週は高すぎたので、70前後をうろうろ位が丁度良いと思います。
MACDはぎりぎりデッドクロスをしていませんが、ヒストグラムを見てもかなり弱い状態です。

フィボナッチ的には、0.236で丁度反発しているように見れます。
来週くらいまでは不安定な気がしますが、フィボナッチと16,000ポイントが合致しているので、1つの強いサポートラインになると思います。
関連チャート

VXNは直近ではかなり高い値です。株価下落した週中がピークに見えます。
利回りはまた上昇傾向です。
経済指標
9日(火)

ほとんど予想通りですが、前月比で増加しておりインフレの加速が懸念される。
生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の変動を調査・算出した経済指標のこと。
「卸売物価指数」として公表されたり、英語表記「Producer Price Index」の頭文字を取り「PPI」と呼ばれることもある。生産者物価指数は、全調査対象の物価動向を示した「総合指数」のほか、構成要素のうち季節要因の変動が激しいエネルギー価格と食品価格を除いた「コアPPI」を用いることが多い。世界各国で発表され、各国(地域)のインフレ動向を測る重要な経済指標として、消費者物価指数(CPI)とともにマーケットでも注目される。米国では労働省が国内製造業者の約1万品目の販売価格を毎月調査・公表しており、インフレ率の判断材料に用いられる。インフレが進む際に、消費者物価指数(CPI)よりも早く反応する先行指標として知られており、PPIが急上昇した場合にはインフレが迫っていると判断される。
10日(水)

消費者物価指数が前年同月比で6.2%上昇した。これは約30年ぶりの高水準である。
サプライチェーンのボトルネックや人手不足による賃金増がインフレ圧力を高めている。
この他にもエネルギー価格や住居費、半導体不足による中古車の高騰等もある。
消費者物価指数とは、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標である。消費者物価指数の変化は物価変動とみなすことができ、国民の生活水準を示すため経済政策を決める上で非常に重要な指数として認識されている。調査には小売価格を用いるが、品質が一定の商品やサービスを調査している消費者物価指数の価格動向とは大きく乖離することも知られている。CPI(Consumer Price Index)と略され、価格変動の大きい食料品とエネルギーを除いたコアCPIも重要視される。
日本ではCPIから食料品を除いたものをコアCPIと呼び、食料品及びエネルギーを除いたものをコアコアCPIと呼ぶ。
※コアコアCPIの表現を使用するのは基本的に日本だけで、日本のコアコアCPIは世界のコアCPIである。
12日(金)

前回、予想と下回り、10年ぶりの低水準とされている。インフレ懸念が消費者心理の悪化につながったとされている。
消費者マインドを探る代表的な指数ですが、対象人数が少なく発表タイミングが早いことから「消費者信頼感指数」の先行指標として市場関係者から注目される。
ミシガン大学が毎月発表し、対象者300人の速報と500人の確定値が出される。
1966年を100として指数化したもので、数値が高ければ米国経済は好調とみなされる。
レバナス情報等
朝日新聞社出版のAEARにてレバナスの特集がありました。以下、抜粋の要約。
レバナス民
平均年収程度のサラリーマンが入金力と唱えつつ積み立てる人たち。
S&P500が米国株投資の定番で、欲張りさんたちがレバナスを買い向かっているとのこと。
逓減リスクが大きく、金融庁からレバッジ商品の注意喚起が今年6月に出されるとともに、積立NISAの対象も外されている商品だと説明されていました。
初心者が手を出しているケースも多く、内容を理解しているのか疑問が残るとのことです。
少しレバナスについておさらいします。
※チャート上で、QLDをレバナスとして説明していますので予めご了承下さい。
ファンドの目的
日々の基準価格の値動きがNASDAQ100指数の値動きの2倍程度になることを目指す。
→レバレッジ ナスダック100の愛称がレバナス!
※レバレッジとはテコを意味して、少額で大きな金額を動かせるという意味です。FX等で良く使用されます。
NASDAQ100とは
NASDAQ100指数は、米国のナスダック市場における時価総額の上位100社(金融業を除く)で構成される株価指数。時価総額加重平均法で計算され、毎年12月に銘柄の入替が行われる。
世界最強(リターンの面で)の指数とも呼ばれ、米国の他の主要指数よりもボラティリティが高いが、1985年の設定来以降で130倍程に成長している。
似たような指数であるS&P500と比較すると、成長著しいハイテク(情報技術系)が多く含まれ、採用基準の制限も少ないことが挙げられます。またGAFAM等の巨大企業の組み入れ比率が高くなっています。


レバナスの否定的意見
①トータルリターンで、原指数の2倍にならない。
→日々の値動きを2倍にしているため当然です。切り取る期間にもよりますが、上記の比較のようにレバナスが原指数の2倍以上になることもあります。
②ボックス相場に弱く、指数から下方向に乖離する。
→逓減リスクを正しく知ろう。過去パフォーマンスは様々な株価の動きを含めた結果です。

長期運用でレバレッジものが良くないと言われる1つの要因が逓減が起きることです。
上記はレバナスの目論見書に記載があります。
逓減とは、株価が上昇と下落を繰り返している間に、基準価格が原指標と比較して押し下げられる現象を指します。
例:100円→90円→100円と原指数の株価が推移した場合


上記はNASDAQ100指数がレンジ相場になった、2016年前後の原指数とレバナス(QLD)の比較です。今はイケイケのナスダック100ですが、こんな時代もありました。
③暴落に弱い
→2倍のレバレッジが掛かっているのでその通りです。
下記はコロナショック時のチャート比較ですが、下がり幅は確実にレバナス(QLD)が大きいです。
ただ結果を見ていただければどうでしょうか?売却しなければ最終的に大きなリターンとなりますし、買い増しのチャンスとも言えます。実際に売却せずに買いませるかは分かりませんが。

➃信託報酬が高い
→下のファンド別比較を確認していただければ分かりますが、インデックスファンドと比較すると高いです。アクティブファンドは載せてませんが、1.5%位はあるのでそれよりは安くなります。
インデックスファンドでは、同じ指数をベンチマークにした場合のリターンはほぼ同じなので、コストを重視するのは当然です。アクティブファンドがインデックスファンドに長期のリターンで負けてしまうのもコスト負けが原因であることも事実です。逆に言えば、コストに見合うリターンを出せば良いと私は思います。

上記は仮想で、簡易ファンドを2種類用意しました。
〇左:レバナス
条件 利回り21% コスト1%(QLDの設定来リターンは28% レバナスの実際信託報酬0.99%)
〇右:eMAXIS Slim(S&P500)
条件 利回り10.1% コスト0.1%(S&P500のリターンは10%前後 実際信託報酬0.0968%)
コストが10倍高いことになりますが、結果が高い方が良くないですか。勿論これは結果論で、ボラティリティが高く、投資効率では劣る可能性があります。流石に10倍コストを支払ったから10倍のリターンが欲しいと言う人はいないと思いますが、コストに見合うがどのくらいかは個人の考え方だと思います。
⑤値動きが大きく、狼狽売りする可能性がある。
→リスク許容度を確認して下さい。自分自身のリスク許容度が思ったより低く、狼狽売りをする可能性があると良く聞きますが、レバレッジファンドだけのリスクではないと思います。何故か前提がインデックスファンドとの比較をされますが、個別株やアクティブファンドと比較してもらえれば良いと思います。
⑥ETFの純資産総額上位にレバレッジものはない。

左は米国ETFで株式のみ純資産総額上位10銘柄となります。レバレッジものは確かに入ってないです。レバレッジものがそれだけ良いなら上位に入ってるはずだよねってことですね。
純資産総額が多いのは、機関投資家の影響が大きいです。一般に自身のお金を運用し運用期間を長く取れる個人投資家より、お客さんや会社のお金を扱う機関投資家の方がリスク許容度が低くなります。
例えば、世界最大の機関投資家であるGPIF(日本の年金を運用している)が「レバナスにつっこんで、国民の年金が半分になりました。数年我慢して下さい。多分大丈夫です。」って言える訳ないですから。
レバナス情報(iFreeレバレッジNASDAQ100)

2018年10月19日の設定来、4倍の成長。

ファンド別比較

・リターン
リターンはレバナスが圧倒的で、半年、1年、3年の全てで1番です。
ここで注目すべき点は、一番右の原指標の商品と比較し2倍になっているかどうかだと思います。
半年と1年では2倍になっていません。これが逓減です。つまりレバナスはボラティリティが原指数の2倍あるのに(リスクが2倍あるという意味)、リターンが2倍になっていないので効率が悪いと考えられる訳です。
・シャープレシオ
リスクとリターンの両方を考慮し、効率の良さを表します。
リターンの水準が同じであれば、リスクが小さいほどシャープレシオは大きくなります。
取ったリスクが同程度であれば、リターンが大きいほどシャープレシオは大きくなります。
通常、シャープレシオは5年以上(長期という意味)で見て「1」以上なら良いファンドとされています。
上記のファンドは全て設定来5年経過していないので、1年と3年で比較して下さい。
必ずしもレバナスが良いとは言えません。
レバナス 2ファンド体制

2021年11月17日から楽天からもレバナスが販売され、2ファンド体制となります。
これらの情報を収集し、自分自身でレバナスを判断して下さい。
このレバナスはレバレッジが「2倍」というところが重要で、リスクとリターンのバランスが取れていると私自身は考えて投資をしています。そして、指数に連動しているためチャートでの確認が容易であることも重要だと思います。
資金が十分にある方や投資の出口に近い方等、個人の状況によってはレバレッジを掛ける必要がないことも十分理解しています。