今週の注目ポイントは、勿論FOMCの発表内容です。
まずFOMCの政策発表に重要なインフレに関する直近の経済指標の確認と株価の動向です。
・先週発表された消費者物価指数(CPI)は、前年比6.8%と約40年ぶりの高水準となったが、コアCPIが市場予測と一致したことで株価下落には繋がらなかった。
・今週発表された生産者物価指数(PPI)が前月と市場予想を上回り、過去最高を更新したことでNASDAQを中心に相場を押し下げた。
〇FOMCでの決定
今回のFOMCで発表されたことは、11月のFOMCで決定したテーパリング(量的緩和の段階的縮小)と利上げの内容をインフレ懸念を背景にペースアップさせるとのことだった。
先に挙げた経済指標が示す通り、現在米国では急激なインフレが進行し、このまま量的緩和やゼロ金利政策を続けるとインフレに歯止めがかからなくなる可能性があるため金融引き締めをする必要がある。
・テーパリング終了時期を、従来の6月から早めて3月を目途に行う。
・2022年の利上げを3回行う。
・QT時期については一切考えていないが、前回のものを参考に出来るかは今後判断していく。
内容は上記の通りで、利上げまでは市場予想とほぼ一致した。ただ 大きく利上げすることで株式の中でもハイテク関連の投資妙味が減少することでNASDAQ100を中心に下落に繋がっている。
そしてQTについての不透明感から全体の下落に繋がったと考えられる。
パウエル議長は兼ねてから、元バーナンキ議長が市場を混乱させたことを踏まえ市場との対話を重視するとしていました。ここ数カ月はインフレ対策が後手に回ったこともあり、当初より市場との対話がうまくいっていないようにも感じます。
テーパリング時期や利上げ時期は対話当初より相当早まっていますし、過去のテーパリングや利上げ時より短期間で行われようとしています。

上記は、前回のテーパリングや利上げ時の株価推移を表したものです。下記にこのチャートから読み取れることを列挙します。長期的に見ると過去のチャートでは、株価は右肩上がりに推移していることは安心材料ではあります。
・注意点
①テーパリング開始時
②テーパリング終了時
③利上げ開始前
以上で、株価の瞬間的下落が予測されるため、テーパリングや利上げ時期が重要となります。特に利上げ開始時は大きく下落しています。
11月からテーパリングが開始された現在は、まさに①のテーパリング開始時に当てはまるのではないでしょうか。
FOMCは米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が行う、米国の金融政策を決定する会合のこと。Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、年8回開催され景況判断と政策金利(FF金利)の上げ下げ等の方針が発表される。
景況判断・政策金利の上げ下げは株価に与える影響が大きく、発表される内容と市場予想と乖離がある場合は特に悪影響を及ぼす可能性が高くなる。
金融緩和とは、景気悪化の局面で景気回復のために中央銀行が金利の引き下げや量的緩和を行う金融政策のこと。直近では、2020年のコロナショック対策として世界中で行われた。
〇ゼロ金利政策
政策金利(FF金利)引き下げの中でも、0~0.25%と限りなくゼロに近くに引き下げる金融政策。
ゼロ金利政策は日銀が早くに導入し、世界の先進国に広がった。
国債利回り等の様々な金利に影響を与え、金利を下げることで個人や企業の買い入れが促され景気や物価を押し上げやすくさせる。

コロナショック時に、FF金利を一気にゼロにすることで、10年国債利回りも一気に低下している。
実は左図のチャートの通り、2019年には金利引き下げを行っていた。
〇量的緩和
先進国では日銀が初めて導入たことが有名。中央銀行が金融機関が保有する国債等を買い取る形で、資金を市場に供給することで景気回復を狙う。
リーマンショック後には英国や米国でも採用された。
◎金融政策のデメリット
金融緩和は適切に行わないと、資金が市場に溢れ物価が上昇し過度なインフレやインフレと景気後退が同時に起こるスタグフレーションを誘導する可能性がある。過度なインフレは購買力を低下させ、過去の経験より景気後退させるリスクがあり避ける必要がある。
・インフレ
経済学的には2%程のインフレ状態が最も良いとされ、先進各国はインフレターゲット(目標のインフレ率)として2%を設定している。これを大きく超える状態を一般的に高インフレと呼ぶが、一時的に超えてもある一定の期間で平均し2%に調整される場合は許容される。
◎景気回復時
次回の景気悪化時に金利引き下げの政策が行えるよう利上げをする必要がある。
通常、景気悪化の局面で金融政策は「金利の引き下げ」→「ゼロ金利政策」→「量的緩和」の順で行われる。景気回復の目途が立った場合は、金融引き締めとして「量的緩和の解除」→「金利の引き上げ」の順で行われる。ただし、急に量的緩和を解除を行ったり、金利の引き上げを行うと金融市場が混乱をきたすため、量的緩和の場合はその借入金額を徐々に減らすテーパリングを行い、テーパリング終了後に金利も徐々に上げていく。今回は発言が見送られたが、最終段階としてQTを行う。
◎QT(量的引き締め)
FRBが保有する米国債等の残高を圧縮する作業のことを意味し、政策金利1%まで引き上げを目安に行われる。過去の場合は、このQT(量的引き締め)時に最も株価が下落している。
下記はFRBの資産残高ですが、量的緩和の為に国債等を買い入れたために、爆増しています。FRBが長期国債を大量に持ち続けると、長期金利が上がりにくい状態となり解消するためにもQTの必要がある。



◎順イールドと逆イールド
上記の右図をイールドカーブと呼び、債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフとなる。縦軸が利回り、横軸が償還までの期間となります。
順イールドは右肩上がりの通常状態です。短期金利より中・長期金利の方が利回りが高いということを示してる。
逆イールドは右肩下がりの状態で、長短金利の逆転現象を指します。一般的に、過度な金融不安や政策変動により短期金利が急騰したことで生じます。
今回のような利上げ時は、短期金利は直ぐに反応し上昇します。
◎逆イールドと景気後退

左図は、過去の逆イールドと景気後退時期のタイミングを示したものです。
青い「米10年国債利回り」と「米2年国債利回り」の差がマイナス(長短金利逆転)時の数年後に、景気後退していることが分かるかと思います。この為、利上げし短期金利が上昇したならば長期金利も上昇させる必要があります。
その他の経済ニュース
・ 新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)が、今までの見解と異なり危険との認識をWHOが示した。世界中でオミクロン株の発見され、アメリカでは最近の死亡者数増加が顕著でることやイギリスで来年春までにオミクロン株による死者数の増加が見込まれることから警戒感を市場に与えた。
・ 忘れ去られていた米債務上限問題は、下院で法上限を引き上げる法案を可決したことで米国債のデフォルトが回避された。
今週の結果
レバナス基準価格とトータルリターン

週間通して下落しました。
月曜日も小幅ですが、下落する予定です。
NASDAQ100とその他の指数の値動き
・一週間

・一か月

・半年

ここ一か月は、NASDAQ100が厳しい状況です。ここ半年まで広げると、NASDAQ100の上昇が光ります。
週足チャート
大きな時間足で「大局」を認識することはとても重要です。

週足レベルでもMACDはデッドクロスしています。
RSIは今年の中では相対的に低く反転の兆しがあります。
週足では26週移動平均線に支えられ、今回はまだ下落に余地が残っているように見えます。
日足チャート

NASDAQ100は、MACDやRSIを見てもかなり弱気なチャートとなっています。
金曜日には一時、12月の頭で下落した15,690付近まで押されましたが、引けにかけて少し戻した形です。50日移動平均線と16,000が重なるサポートを割り込んだことは大きく、チャート的には今後も下落が続く可能性があります。金曜日は既に50日移動平均線がレジスタンスになったようにも見えます。
9月までの高値で12月の頭で下落した15,690付近を割り込んだ場合は、100日移動平均線や平行チャンネルの下限を試す展開となりそうです。
NISAやジュニアNISA等の枠が余っている人は、レバナスの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
ただ今回は今年1年の中でもファンダメンタルズ面で状況が悪く、上記で挙げたサポートを更に割り込む可能性がありますので、買い増し基準はしっかりと整えておく必要があるかと思います。
下記は2021年の3月からのNASDAQ100チャートとなります。
今年の大きな下落の3回全て、平行チャンネル(サポートライン)にサポートされています。
過去100日移動平均線に挑戦するような時は、RSIは40切りでMACDはマイナス圏に突入しています。
今回も月曜日の先物で、100日移動平均線に挑戦しており(ぎりぎりサポートされている)、RSI40切りとMACDのマイナス圏入りは避けられないように思います。
細かく見ると100日移動平均線は意識されていますが、結局3回とも割り込んでいますので今回も割り込む可能性は高いです。

比較的堅調であった、S&P500もMACDでデットクロスをしました。50日移動平均線と4,600のサポートに支えられましたが、割り込んだ場合も考慮すべきです。9月までの高値である4,550ポイントや12月頭の下落で支えられた100日移動平均線がターゲットとなります。
関連チャート

VXNは徐々に上昇中。もう少し上がっても良いと思います。まだ楽観的なのでしょうか。
長期金利は、本来利上げが発表されたため上昇基調です。リスクオフが広がり、債券が大きく買われている可能性があります。
原油価格は、ここ数カ月では安値で安定しレンジに入りました。
有事なことがなければ、今後利上げする米国の方が日本より買われるため円安に振れやすくなります。
経済指標
・先週の金曜日(重要な為)

今回、CPIの前年比で6.8%と1982年以来の高い伸びとなった。
消費者物価指数とは、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標である。消費者物価指数の変化は物価変動とみなすことができ、国民の生活水準を示すため経済政策を決める上で非常に重要な指数として認識されている。調査には小売価格を用いるが、品質が一定の商品やサービスを調査している消費者物価指数の価格動向とは大きく乖離することも知られている。CPI(Consumer Price Index)と略され、価格変動の大きい食料品とエネルギーを除いたコアCPIも重要視される。
日本ではCPIから食料品を除いたものをコアCPIと呼び、食料品及びエネルギーを除いたものをコアコアCPIと呼ぶ。
※コアコアCPIの表現を使用するのは基本的に日本だけで、日本のコアコアCPIは世界のコアCPIである。
・火曜日

問題のPPIです。CPIの発表でピークアウトとバイデン大統領は発言していましたが、先行指標のPPIが過去最高ですから油断出来ない状況です。
生産者が出荷した製品や原材料などの販売価格の変動を調査・算出した経済指標のこと。
「卸売物価指数」として公表されたり、英語表記「Producer Price Index」の頭文字を取り「PPI」と呼ばれることもある。生産者物価指数は、全調査対象の物価動向を示した「総合指数」のほか、構成要素のうち季節要因の変動が激しいエネルギー価格と食品価格を除いた「コアPPI」を用いることが多い。世界各国で発表され、各国(地域)のインフレ動向を測る重要な経済指標として、消費者物価指数(CPI)とともにマーケットでも注目される。米国では労働省が国内製造業者の約1万品目の販売価格を毎月調査・公表しており、インフレ率の判断材料に用いられる。インフレが進む際に、消費者物価指数(CPI)よりも早く反応する先行指標として知られており、PPIが急上昇した場合にはインフレが迫っていると判断される。
・水曜日

市場予想を下回りました。インフレによって人々の消費の抑制につながっているとも考えられます。
米小売売上高は、百貨店、スーパー、コンビニ等の小売・サービス業の月間売上金額をまとめた景気関連の経済指標を指す。前年比と前月比が発表されるが、前月比で増加すると個人消費は堅調と判断され、逆に減少すると個人消費は落ち込んでいると判断される。
各国で発表される小売売上高であるが、米国では個人消費がGDP(国内総生産)の約7割を占める消費大国とあって、消費動向・景気動向を知る上で特に重要視される。
自動車を除いたものをコア小売売上高と呼ぶ。
・木曜日

米労働省が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表しています。アメリカ国内の雇用情勢を示す経済指標で、失業者が失業保険給付を初めて申請した件数を集計しています。景気の動向に敏感に反応し、景気先行指数として、雇用統計の約2ヵ月先行すると言われています。
・金曜日
経済指標ではありませんが。
英語表記「Triple witching」の日本語読みで、米国市場において株式先物取引、株価指数オプション取引、個別株オプション取引の3つの取引期限満了日が重なる日のこと。3月、6月、9月、12月の第三金曜日がそれにあたる。特別清算指数(SQ)算出に伴い取引量が増加することから株式相場に波乱が起こりやすい日と言われており、「ウィッチ(魔女)」の名が付いている。
SQとは
Special Quotationの略でSQ(エスキュー)と呼び、特別清算指数のことである。株価指数の先物取引やオプション取引の最終決済を行うために算出される指数(価格)です。
先物取引やオプション取引は取引期間が決まっており、その期間内に決済されてない分が、決算最終日にSQの値で強制決済されることになる。

それでは皆さん、レバナス握り締めて爆っていきましょう!