3/21週も小幅ながらNASDAQ100を筆頭に米国3指数は続伸した。
パウエル議長を含めたFEB高官の相次ぐ、今後の利上げで0.5%のダブル利上げについての示唆が続き米国債金利が急上昇しました。それに伴い、3/18の黒田総裁の円安容認発言から更にドル高が急速に進んでいます。
来週以降は3月を反映した経済指標が発表されますので、そこを乗り越えれるか乗り越えれないかで短期的トレンドを決定づける程重要となりますので見極める必要があります。
ウクライナ情勢では徐々にロシア軍が劣勢を強いられているとのことで、生物・化学兵器使用の懸念が出ています。EUやNATOの首脳会議が行われましたが、具体的な今後の対応については決まりませんでした。ただし生物・化学兵器は広範囲に影響を及ぼしNATOが軍事介入もあるかとなりましたが、実際に行われれば株価への影響は大きいと考えらます。ウクライナの大統領がリモートで日本の国会で演説を行いましたが、とてもリーダーシップを感じられる力強いものでした。
個別株やセクターで見ると、テスラがドイツでの工場を条件付であるものの稼働させるとの報道があり一日で8%近くの上昇と指数全体をけん引する場面もありました。アップルも好調で既に9連騰継続中で、週間で7%近くの上昇となっています。
特に売られていた半導体もとても強かった。

大陽線となったSOXL
エヌビディア等は10%近く上昇しています。他のセクターと比較して現時点では懸念点あり出遅れている感がありますので、払拭されれば上昇幅が見込めると考えています。50日移動平均線を超えて更に弾みをつけるかどうか。
NASDAQ100はほぼ半値、S&P500は三分の二近くまでそれぞれ高値から戻しています。元指数は半値近くまで戻しています。

ロシアのウクライナ侵攻が一刻も早く収束し、平和に戻るよう願っています。
今週の結果
レバナス基準価格とトータルリターン

基準価格の上昇が凄まじいですね。
ただこれだけの上昇でもなお、20%超のマイナスリターンである楽天レバナス。
せめてトントンに戻してくれ!
NASDAQ100とその他の指数の値動き
・一週間

・年初来

週間ベースで見ても米主要3指数はこぞって続伸となりました。先週の上げ幅がNASDAQ100は8%超と物凄かったのでやや物足りない感じもしますが。
S&P500やダウ平均は年初来でも5%と小幅の下げまで戻しました。NASDAQ100も一時は弱気相場入りの20%超の下げを記憶していますので、大分安心感が出てきています。
長期足チャート
大きな時間足で「大局」を認識することはとても重要です。
月足レベルでデットクロスしていることは前提知識としてあった方が良いと思います。

週足レベルでも上昇を感じれるところまできました。
RSIはほぼ50の49.5、MACDもMACD線(青線)が上向きになっています。
週足レベルMACDはそこそこの信用性があると考えています。リーマンショック級になると月足でのMACDのゴールデンクロスを確認する必要がありますが、20%下落位では週足レベルでのゴールデンクロスでも十分な信頼性があります。勿論、今回はQTやダブル利上げ(一度に0.5%の利上げのこと)を控えていますので、過信は禁物ですが。
3/21週は、50週移動平均線に頭を抑えられた形です。ここを超え、NASDAQ100で重要な26週移動平均線を力強く超えて欲しいものです。26周移動平均線も日足レベルで抵抗の多い15,000~15,200ポイントに構えています。
日足チャート

NASDAQ100は先週の上昇の勢いはなくなっているように見えます。陰線が3本ありますから。
NASDAQ100は、大きいレジスタスの1つである14,500~14,600ポイントを超えたことでやや上値は軽い状態と考えていましたが、一目均衡表の雲に阻まれていました。次の大きいレジスタンスは15,200ポイント前後で、2月の頭の戻り高値を抑えた場所となる。現在は、100日移動平均線やフィボナッチの0.618、一目均衡の雲の上限等とテクニカル上のレジスタンスも多いことに加え、ファンダメンタル的にも企業決算や経済指標と相まって崩すことが難しいと思います。逆に超えることが出来れば、相当強い上昇と考えることが出来ます。
S&P500は一足先にフィボの0.618や100日移動平均線に挑戦するところで、来週の値動きに注目する必要があります。15,000ポイントに到達していないのに思ったよりNASDAQ100の上値が重いと思った場合は、S&P500のチャートを確認しましょう!

ボリンジャーバンドのバンドウォークのような形になれば強い上昇となる可能性も・・・
レジスタンスを超えるのに1~2回は挑戦している状態。次の15,000~15,200ポイントは相当厚いと考えています。
関連チャート

VXNは下げ止まった週となりました。35付近から見るとかなり低く感じますが、まだ十分高い水準にあります。ウクライナ情勢の早い進展が望まれます。
米10年国債利回りの上昇が酷いですね。中立金利を既に上回っています。
今のNASDAQ100の上昇は嬉しい限りですが、この金利上昇を本当に織り込んでいるのかが不安になるレベルです。既に5年債利回りは10年債利回りを超えていて長短金利差の逆転が起こっています。
中立金利とは、経済・景気に対して緩和的でも引き締め的でもない中立的な金利を指す。
〇中立金利と実質金利の関係
・実質金利が中立金利を上回ると景気抑制
・実質金利が中立金利を下回ると景気刺激
中立金利は長期的にみると下落している。現在は2.5%が中立金利と言われ、これを超えると株価には大きなマイナス要因となる。

原油先物価格も強い上昇を続けています。米国等は更に石油備蓄の放出を行いましたが効果がありません。25日はイエメンの武装組織がサウジアラビアの国営石油会社「サウジアラコム」の関連施設をドローンで攻撃し火災が起こったことで更なる上昇となっています。因みにこの会社はアップルとMicrosoftに続く世界3位の時価総額を誇る会社です。

ドル円は、短期的には前回の125円80銭を超えるのかどうかが焦点ですね。一部には150円まで進むなど過激な発言まで出始めました。日本企業の株価には追い風かもしれませんが、一般市民からしてみたらたまったものではありません。徐々にドル高に進むのは流れですが、もう少し緩やかに、そしてドル転する時間を下さい。円安はドルに対してのみではなく、ユーロや他の主要な通貨に対して大幅に安くなっています。
経済指標

来週は大きな経済指標である雇用統計があります。その他にもISM景気指数や個人消費所得・支出があります。この辺りの悪化とテクニカル上のレジスタンスにぶつかると、下落要因となる可能性があります。ただし、下落幅は限定されると考えています。

・水曜日

金利上昇に伴い住宅ローン金利も急上昇しています。
新築住宅販売件数の減少は景気後退を示唆しますが、現在はインフレ鎮静化の側面もあり一概に悪いとは言えません。先日発表された中古住宅販売件数と傾向は似ていますし、米国では規模が中古住宅販売件数より小さいです。
米国内で1カ月に販売された新築住宅の件数を、米商務省が毎月下旬に公表する。景気動向の先行指標とされる米住宅関連指標の1つで、住宅の購入に伴って家具・家電などの耐久消費財が購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため、景気動向の先行指標として市場関係者から注目されている。統計のタイミングの早さから、中古住宅販売件数より先行性が高い。
・木曜日


PMIは非常に強い結果となった。耐久受注は逆に悪い結果となりました。
本日の相場を振り返ると寄り付き前に耐久受注が発表され、PMIが寄り付き後すぐに発表されています。PMIは約8ヵ月ぶりの高水準となっています。
PMI(Purchasing Manager’s Index:購買担当者景気指数)は、企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標のひとつです。国別や、製造業、サービス業ごとの集計も行われており、一般的に雇用統計などの統計よりも景気先行性があるとされ、株式等の運用担当者の注目度が高い指標の1つ。景気判断として一般に、PMIの数値が50を上回ると改善、50を下回ると悪化と判断されます。
耐久財(3年以上耐えられる物、自動車・航空機・パソコン・家電・家具)の企業での受注状況を表した経済指標で、設備投資が進むと上昇し景気向上と判断される。

20万件を下回るのは久々で強い雇用となっています。逆に言えば人手不足と捉えることもできます。1969年以来の低水準。
米労働省が毎週集計し、集計期間の翌木曜日に発表しています。アメリカ国内の雇用情勢を示す経済指標で、失業者が失業保険給付を初めて申請した件数を集計しています。景気の動向に敏感に反応し、景気先行指数として、雇用統計の約2ヵ月先行すると言われています。
・金曜日

消費者マインドを探る代表的な指数ですが、対象人数が少なく発表タイミングが早いことから「消費者信頼感指数」の先行指標として市場関係者から注目される。
ミシガン大学が毎月発表し、対象者300人の速報と500人の確定値が出される。
現在の景況感を示す現状指数(約40%)と先行きを示す期待指数(約60%)で構成されている。
今後の展開及びアノマリー

3月のアノマリーは強い月だといえる。ただ今年はあまりアノマリーは参考にならないと思います。ウクライナ情勢や金融政策の方が株価に影響を与えると考えているためです。
ただここ数日の値動きで進むと流石、3月となります。
ただ期待を込めて、FOMCとメジャーSQが終わったころから悪材料の出尽くしとアノマリー最強の4月に向けて上昇すると思っています。
3月分の経済指標、4月7日のFOMCの議事要旨(3月分)等の結果次第の部分がありますので注視する必要があります。これらを乗り越えた場合は4月中旬から下旬までは上昇しやすいでしょう。
5月前後になるとウクライナ情勢悪化後の企業決算が出てきたり、5月のFOMCを念頭に置いた調整が入ってくると思います。

左のチャートは2021年のNASDAQ100の日足になります。3月に入って底を打ち反発している様子は今年と似ていると考えています。
2021年もFOMCをきっかけに2番底を形成していますが、今年の5月FOMCはQTの情報や0.5%の利上げの可能性がありより顕著に動く可能性があると思います。2番底があるのかないのか、あるのであれば3月の底を切り上げるのか切り下げるのかも重要です。高値に関しては、切り上げる可能性は低いと考えます。
下記は、リーマンショック含めそれ以降の大きな暴落の週足チャートになります。

コロナショックと2018年(前回QT時)の暴落時は、底値から順調にV時回復したパターンです。

個人的には2022年の下落は下段の様な動きをメインシナリオとして考えています。
意外にも一旦高値を更新した後に大きく下落する左のパターンが多かったです。
少なくともQT前後やウクライナ情勢悪化が反映される春の決算シーズンにはある程度の下落は想定できます。その際は、下段の左のチャートの様になると思います。
右のリーマンショックはエグイですね。一回目の底値を大きく切り下げるパターンは大きい暴落ではリーマンショックのみでした。ただ現在の状況を鑑みて今後、スタグフレーションからのリセッションとなれば、リーマンショックの様な下段の右パターンを想定する必要があります。
勿論、上段のようにV字回復する可能性もない訳ではないので、定期での積立などは継続しつつ何時でも逃げれるように留意しつつ買い増しする方法がベターかと思います。
〇スタグフレーションとリセッションの懸念
現在は金融政策とウクライナ情勢が株価変動へ大きな影響を与えている。その中、スタグフレーションとリセッションの懸念も株価の上値を抑えている要因となっている。
ゴールドマンサックスのエコノミストは、2022年の米GDP成長予想を2.0%から1.75%へ下方修正するとともに、景気後退に陥る確率はイールドカーブの傾きに基づくと20~35%の確率であることを示唆しているとしている。




◎順イールドと逆イールド
上記の右図をイールドカーブと呼び、債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフとなる。縦軸が利回り、横軸が償還までの期間となります。
順イールドは右肩上がりの通常状態です。短期金利より中・長期金利の方が利回りが高いということを示してる。
逆イールドは右肩下がりの状態で、長短金利の逆転現象を指します。一般的に、過度な金融不安や政策変動により短期金利が急騰したことで生じます。
今回のような利上げ時は、短期金利は直ぐに反応し上昇しますが、長期金利は安全資産の国債が買われることで上昇が抑えられます。
上記の左図は、過去の逆イールドと景気後退時期のタイミングを示したものです。
青い「米10年国債利回り」と「米2年国債利回り」の差がマイナス(長短金利逆転)時の数年後に、景気後退していることが分かるかと思います。この為、利上げし短期金利が上昇したならば長期金利も上昇させる必要があります。


上記の通り、2022年に入り急速に長短金利差が縮小しています。
ゴールドマンサックスは3月末に、FRBの最近のタカ派発言を受けて米10年国債利回りの年末水準を従来の2.25%から2.7%に引き上げました。2年債利回りは2.9%、30年債利回りについては2.75%とした。長短金利差については逆転することを想定していますが、必ずしもリセッション(景気後退のシグナル)として受け取るべきではないとしている。
スタグフレーション:インフレと経済が悪化のダブルパンチ
リセッション:景気後退期。欧米ではGDPが2四半期連続でマイナス成長となった場合を指す。
レバナス情報


販売件数等は若干の後退となりました。
木曜日の大上昇の騰落率は3位とレバナスの素晴らしさを改めて感じます。